産業廃棄物(産廃)収集運搬業許可の制度概要

○産業廃棄物収集運搬業許可について -廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」)第14条-

産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の収集運搬を業として営むためには、法に基づき、都道府県知事や政令市長の許可を受けなければなりません。

○産業廃棄物とは

上記のように、「産業廃棄物」や「特別管理産業廃棄物」を業として収集運搬するにおいては許可が必要となることから、どのようなものがこれらにあたるのかについて、理解する必要があります。

まず、産業廃棄物収集運搬業許可について規定する、廃棄物の処理及び清掃に関する法律において、

同法律における「廃棄物」とは「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)」と定められており(法第2条第1項)、

また、「産業廃棄物」については主に「事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」、「輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)」と定められ(法第2条第4項)、

同様に、「特別管理産業廃棄物」についても「産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるもの」と定められています(法第2条第5項)。

※法における廃棄物分類(一般廃棄物及び特別管理一般廃棄物を除く)のイメージ

廃棄物 法が対象とする不要物(固形状又は液状のもの)
産業廃棄物 事業活動に伴って発生した廃棄物のうち、燃え殻など20種類及び輸入された廃棄物
特別管理産業廃棄物 産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するもの

 

上記より、業としての収集運搬に許可が必要となる産業廃棄物とは、

不要物であること事業活動に伴って発生したものであること法が規定する20種類に該当すること、であることがポイントとなります。

○許可が必要となる産業廃棄物の種類と具体例

現在、法では産業廃棄物(産廃)収集運搬業許可が必要となる産業廃棄物の種類について、以下の通り規定されています。種類の具体例とともに以下にご紹介します。

 

○産業廃棄物の種類

種 類 業種指定 内 容 及 び 例 示
①燃え殻  

事業活動に伴い生ずる石炭がら、灰かす、焼却残灰、炉清掃排出物など。

例 石炭がら、灰かす、産業廃棄物の焼却残灰、炉清掃排出物、コークス灰、重油焼却灰など。

②汚泥  

工場排水等の処理後に残る泥状のもの、各種製造業の製造工程等で生じる泥状のものなど、有機性、無機性のすべてのもの。

例 製紙スラッジ、動植物性原料使用工程の排水処理汚泥、ビルピット汚泥、下水道汚泥、活性汚泥(余剰汚泥)、糊かす、うるしかす、浄水場沈殿汚泥、凝集沈殿汚泥、めっき汚泥、砕石スラッジ、カーバイドかす、石炭かす、ガラス・タイル研磨かす、不良セメント、建設汚泥など。

③廃油  

鉱物性油、動植物系油脂に係るすべての廃油

例 潤滑油系廃油、切削油系廃油、洗浄油系廃油、絶縁油系廃油、圧延系廃油、作動油系廃油、その他の鉱物油系廃油(灯油、軽油、重油等)、動植物油系廃油(魚油、鯨油、なたね油、豚油、牛脂等)、廃溶剤類、タールピッチ類、洗車スラッジ(廃油と汚泥の混合物)など。

④廃酸  

廃硫酸、廃塩酸、有機廃酸類をはじめとするすべての酸性廃液

例 無機廃酸(硫酸、塩酸、硝酸等)、有機廃酸(ギ酸、酢酸、シュウ酸等)、アルコール発酵廃液、アミノ酸発酵廃液、写真定着液など。

※中和処理した場合に生ずる沈殿物は「汚泥」

⑤廃アルカリ  

廃ソーダ液をはじめとするすべてのアルカリ性廃液

例 廃ソーダ液、金属せっけん廃液、写真現像廃液、舗装切断作業時に発生する汚泥との混合物(pH12.5以上は特別管理産業廃棄物の廃アルカリ)など。

※中和処理した場合に生ずる沈殿物は「汚泥」

⑥廃プラスチック  

合成高分子系化合物に係る固形及び液状の全ての廃プラスチック類

例 廃ポリウレタン、廃スチロール(発砲スチロールを含む)、廃ベーグライト、廃農業用フイルム、各種合成樹脂系包装材のくず、合成紙くず、廃合成皮革、廃合成建材、合成繊維くず(ナイロン、ポリエステル、アクリル及びそれらの混紡など)、合成ゴムくず(廃タイヤ、パッキン)など。

⑦紙くず 有(※)

下記(1)~(6)の事業活動に伴って生ずる紙くず

例 建材の包装紙、建築現場から排出される紙くず、印刷くず、製本くずなど

(1)建設業(工作物の新築、改装又は除去に伴って生じたもの)

(2)パルプ、紙又は紙加工品の製造業

(3)新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うもの。)

(4)出版業(印刷出版を行うもの。)

(5)製本業

(6)印刷物加工業

※PCBが塗付され、又は染み込んだものについては全業種。

⑧木くず 有(※)

下記(1)~(6)の事業活動に伴って生ずる木くず(竹も含む)

例 建設業関係、木材・木製品製造業関係の廃木材、おがくず、バーク類、梱包材くず、板きれ、廃チップなど。

(1)建設業(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの。)

(2)木材又は木製品製造業(家具の製造業を含む。)

(3)パルプ製造業

(4)輸入木材の卸売業

(5)物品賃貸業に係る木くず(リース事業者から排出されるリース物品(家具・器具類等)に係る木くず)

(6)貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)に係る木くず(※業種指定なし)

※PCBが染み込んだものについては全業種。

⑨繊維くず

下記(1)(2)に伴って生ずる繊維くず

例 木綿くず、羊毛くず、麻くず、糸くず、布くず、綿くず、レーヨンくず、建設現場から排出される繊維くず、ロープなど。

(1)建設業(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの。)

(2)繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)

※PCBが染み込んだものについては全業種。

⑩動植物性残渣

食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業において原料として使用した動物植物に係る固形状の不要物

例 魚及び獣の骨、皮、内臓等のあら、ボイルかす、缶詰・瓶詰めの不良品、乳製品、精製かす、醸造かす、醗酵かす、あめかす、のりかす、野菜くず、原料として保管しているもので不良となったものなど。

※飲食店等から生ずる動植物性残渣、厨芥類、売れ残り食料品は、事業系一般廃棄物

⑪動物系固形不要物 と畜場法のと畜場においてとさつし、又は解体した獣畜及び鳥処理事業の規制及び食鳥検査に関する法律の食鳥処理場において食鳥処理した食鳥に係る固形状の不要物
⑫ゴムくず  

天然ゴムくず

例 切断くず、ゴムくず、ゴム引布くずなど。

※廃タイヤは廃プラスチック類(合成ゴムくず)

⑬金属くず   例 鉄くず、空き缶、スクラップ、ブリキ・トタンくず、銅線くず、研磨くず、切削くず、溶接かすなど。
⑭ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず  

(1)ガラスくず

例 廃空きビン類、板ガラスくず、破損ガラス、ガラス繊維くずなど。

(2)コンクリートくず

例 製造過程等で生じるコンクリートブロックくず、インターロッキングくず

(3)陶磁器くず

例 陶器くず、磁器くず、レンガくず、石膏ボード(紙屑の混合物)など。

⑮鉱さい   例 高炉・平炉・電気炉等溶解炉からの残さ(スラグ)、キューポラ溶鉱炉のノロ、不良鉱石、粉炭かす、鋳物廃砂など。
⑯がれき類  

工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物

例 コンクリート破片、アスファルト・コンクリート破片、レンガ・瓦などの破片

⑰動物のふん尿

畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物ふん尿

例 牛、馬、豚、めん羊、山羊、にわとり、兔・毛皮獣などのふん尿

⑱動物の死体

畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物の死体

例 牛、馬、豚、めん羊、山羊、にわとり、兔・毛皮獣などの死体

⑲ばいじん   大気汚染防止法のばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法の排出ガス規制の対象となる特定施設又は産業廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであって、集じん施設によって集められたもの。
⑳産業廃棄物を処分するために処理したもの  

①~⑲の産業廃棄物又は輸入された廃棄物を処分するために処理したもので、これらの産業廃棄物に該当しないもの。

例 有害汚泥のコンクリート固形化物など。

 

○特別管理産業廃棄物の種類(特定有害産業廃棄物を除く)

種 類 内 容 及 び 例 示
廃油

引火点70℃未満の燃焼しやすいもの。

例 廃揮発油類(ガソリン、シンナー等の廃溶剤)、廃灯油類

廃酸

pH値(水素イオン濃度指数)が2.0以下の酸性廃液

例 廃濃硫酸、廃濃硝酸など。

廃アルカリ

pH値(水素イオン濃度指数)が12.5以上のアルカリ性廃液

例 強アルカリ廃液など。

感染性産業廃棄物

医療関係機関等において生じ、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体が含まれ、若しくは付着している産業廃棄物又はこれらのおそれのある産業廃棄物

例 廃血液等の病理廃棄物、注射針、メス、ピンセット、注射器、手袋等の使用済医療機材、使用済衛生材料など。

 

業として特別管理産業産業廃棄物の収集運搬を行うにあたっては、産業廃棄物収集運搬業の許可とは別途、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可の取得が必要となりますので、ご注意ください。

 

○産業廃棄物収集運搬業許可の基準(許可を受けるための要件)

法により、産業廃棄物(産廃)収集運搬業許可の要件は次のように定められています(法第14条第5項)。

(1)施設及び申請者の能力が環境省令に定める基準に適合していること

(2)申請者が法が規定する欠格に該当しないこと

 

この点、具体的には、

(1)に関しては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(以下「規則」)において以下のように定められています(規則第10条)。

①施設に係る基準

・産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。

・積替施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること。

②申請者の能力に係る基準

・産業廃棄物の収集又は運搬を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。

・産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。

 

また、(2)に関しては、法において申請者が以下の欠格事由に該当しないことと定められています(法第14条第5項第2号)。

・心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者として環境省令で定めるもの

・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

・この法律、浄化槽法(昭和五十八年法律第四十三号)その他生活環境の保全を目的とする法令で政令で定めるもの若しくはこれらの法令に基づく処分若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項を除く。)の規定に違反し、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰ニ関スル法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

・第七条の四第一項(第四号に係る部分を除く。)若しくは第二項若しくは第十四条の三の二第一項(第四号に係る部分を除く。)若しくは第二項(これらの規定を第十四条の六において読み替えて準用する場合を含む。)又は浄化槽法第四十一条第二項の規定により許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合(第七条の四第一項第三号又は第十四条の三の二第一項第三号(第十四条の六において準用する場合を含む。)に該当することにより許可が取り消された場合を除く。)においては、当該取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号、第八条の五第六項及び第十四条第五項第二号ニにおいて同じ。)であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)

・第七条の四若しくは第十四条の三の二(第十四条の六において読み替えて準用する場合を含む。)又は浄化槽法第四十一条第二項の規定による許可の取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に次条第三項(第十四条の二第三項及び第十四条の五第三項において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による一般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分(再生することを含む。)の事業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法第三十八条第五号に該当する旨の同条の規定による届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないもの

・ヘに規定する期間内に次条第三項の規定による一般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分の事業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法第三十八条第五号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、ヘの通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの

・その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者

・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下この号において「暴力団員等」という。)

・営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人がイ又はロのいずれかに該当するもの

・法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの

・個人で政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの

・暴力団員等がその事業活動を支配する者

 

許可申請にあたりましては、上記の基準を満たすことを都道府県ごとの案内に基づき、資料として提出する必要があります。

○許可の有効期間

産業廃棄物(産廃)収集運搬業許可は5年を下らない期間で更新しなければならないとされています。

○許可を受けた後に必要となる手続き

産業廃棄物(産廃)収集運搬業許可を受けた後に必要となる主な手続きは、以下の通りです。

(1)更新申請

 上述の通り、産業廃棄物収集運搬業許可の有効期間は5年であるため、引き続き許可を受けて産業廃棄物収集運搬業を営む場合は、更新申請が必要です。

(2)変更届の提出

 許可取得後、下記についての変更がある場合には、法定期限内の変更届の提出が必要です。

・名称、氏名

・所在地、住所

・代表者、役員、政令使用人、株主等

・車両、船舶

・駐車場の所在地

※提出先の自治体により上記や上記以外の変更届の提出の要否が異なります。

(3)変更許可申請

事業の範囲を変更する場合には、変更許可申請が必要です。

例 積替・保管を含む許可への変更、取り扱う産業廃棄物の種類の追加

(4)廃止届の提出

 事業を廃止した場合には、法定期限内の廃止届の提出が必要です。

 

産業廃棄物(産廃)収集運搬業許可に関して、当事務所でお手伝いできること

 当事務所では、上記に記載中の、

産業廃棄物(産廃)収集運搬業許可申請

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