遺言書作成手続の概要

○遺言書作成の意義

遺言とは、死後の法律関係を定めるための遺言者による最終意思表示(身分上の事項に関する遺言もありますが、ここでは財産上の事項に関する遺言に限り、わかりやすく言い換えると、自分が生涯をかけて築き、かつ、守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う遺言者の意思表示)をいいます。

こうした意思表示を法律上の効力を生じせしめるために、民法に定める方式に沿って書面にしたものを遺言書といいます。

遺言がないときは、民法が相続人の相続分(法定相続分)を定めているため、これに従って遺産を分配することとなります。もっとも民法は、例えば「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする」(民法第900条第1号)というように、抽象的に相続分の割合を定めているにすぎません。また、民法の法定相続に関する規定は、一般的な家族関係を想定して設けられているにすぎません。

そこで、遺言により遺産の帰属を具体的に決めておく(例えば、妻には自宅と○万円、長男にはマンションと×万円、etc)ことで争いを未然に防ぐことが可能になるとともに、遺言者が、自分の家族関係をよく頭に入れて、その家族状況に合った相続の仕方を遺言できちんと決めておくことで、個々の家族状況に合った公平な遺産相続の実現を図ることが可能となります。

加えて上記により、遺言者が遺言(書)によりその意思を明確にしておくことは、残された者にとっても遺言者の意思に沿った具体的・個別的な遺産相続を実現する上で、とても有り難いことであり、大きな意義があります。

 

○遺言書の種類について

普通遺言方式として、「公正証書遺言」、「自筆証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があります。

このうち、「秘密証書遺言」については、内容を秘密にしたままその存在だけを公証役場で認証してもらえる遺言書のことをいいますが、無効になり易い、紛失・隠匿のリスクがあるといったデメリットとも相まって実務上ほとんど利用されておりません。

また、特別方式遺言という特殊な遺言書もありますが、非常に限定的な状況でしか活用されない制度であり、通常時に作成されるのは普通方式遺言となります。

そこで、以下においては「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」を中心に、それぞれの遺言書の種類のメリット・デメリットを解説します。

○公正証書遺言のメリットとデメリット

「公正証書遺言」とは、遺言者本人が、公証人と証人2名の前で、遺言の内容を口頭で告げ、公証人が、それが遺言者の真意であることを確認した上、これを文章にまとめたものを、遺言者及び証人2名に読み聞かせ、又は閲覧させて、内容に間違いがないことを確認してもらって、遺言公正証書として作成される遺言方式をいいます。やや簡易に分かりやすくいうと、法務大臣から任命を受けた公務員である公証人や証人の立ち合いのもと、遺言書を作成する方法をいいます。

 

公正証書遺言の主なメリット・デメリットは下記のとおりです。

メリット デメリット

✔公証人が関与するため遺言書として無効になりにくい

✔遺言内容が適法・正確になる

✔原本は公証役場で保管してくれるため、紛失・隠蔽などのリスクがない

✔原本は公証役場で保管してくれるため、遺言書が発見されやすい

✔家庭裁判所による遺言書の検認が不要

✔文字が書けなくても作成可能

✔作成に時間と手間がかかる

✔作成に公証人への費用がかかる

✔証人2人が必要

 

上記の通り、公正証書遺言の作成には、作成に時間や費用がかかるといった面もありますが、

有効かつ内容としても適法・正確な遺言書を残せて、検認不要であり、原本の保管を公証役場においてしてもらえるといった点で、十分なメリットがあります。

◎こうした理由により、当事務所では、十分なヒアリングを実施の上で「公正証書遺言」による遺言書の作成をおすすめしております。

 

○自筆証書遺言のメリットとデメリット

「自筆証書遺言」とは、遺言者が、紙に、自ら遺言の内容の全文を手書きし、かつ、日付及び氏名を書いて、署名の下に押印することにより作成される遺言方式をいいます。やや簡易に分かりやすくいうと、遺言者が遺言書本文を自書(自ら書くこと)する遺言書の方法のことです。

 

自筆証書遺言の主なメリット・デメリットは下記のとおりです。

メリット デメリット

✔手軽に作成できる

✔作成に費用がかからない

✔遺言者のみで作成可能

✔遺言書が無効になりやすい

✔遺言内容が不適法・不正確になりやすい

✔紛失・隠蔽などのリスクがある

✔遺言書が発見されないリスクがある

✔家庭裁判所による遺言書の検認が必要

✔遺言者による自書が必要

 

※令和2年7月から開始した法務局による「遺言書保管制度」の利用により、上記紛失・隠蔽や発見されないといったリスク、検認が必要といった上記一定のデメリットを回避することが可能となります。同制度を利用するにあたっては別途費用がかかります。

 

上記の通り、自筆証書遺言の作成には、手軽に作成でき、作成に費用がかからないといったメリットがあることや、「遺言書保管制度」の利用により上記一定のデメリットを回避することも可能ですが、

遺言書が無効となりやすい、遺言内容が不適法・不正確になりやすい不安といったデメリットがあります。

◎こうした理由により、当事務所では、十分なヒアリングを実施の上で「公正証書遺言」による遺言書の作成をおすすめしております。

 

遺言書作成手続に関して、当事務所でお手伝いできること

当事務所では、上記に記載中の、

公正証書遺言書の作成サポート

はもちろん、

自筆証書遺言書の作成サポートなど

の遺言書作成手続について、内容チェックや証人サポートも含めたサポートをさせていただきます。

【初回相談無料】初回のご相談につき無料にて行わせていただきます。事前の説明なしに費用等を頂戴することは一切ございませんため、どうぞ安心して電話・メールその他お気軽にお問い合わせください。ビデオ会議でのご相談も対応致しております。

どうぞお気軽にお問い合わせください。045-594-7219受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日は事前にご予約ください ]

メールでのお問い合わせはコチラ